元気になる情報誌 yomiっこ
yomiっこキャラクター ヨッピー
 
 
2017年
2016年
2015年
2014年
2013年
2012年
2011年
2010年
2009年
2008年
 
編集長のメッセージ 2015年5月号 - yomiっこ
yomiっこ 2015年5月号

人生を膨らませるオンリーワンの家
自分らしい家を創る
庭いじりはおもしろ!
ガーデンライフを始めよう
 この春、特別寂しい別れがあった。ぎっしりあんこが詰まった特大『大仏あんぱん』で有名な奈良市高天町のパン屋「パネトーネ」が3月末で閉店したのだ。
 直径約12cm、重さ350gもある『大仏あんぱん』は、店主の中野稔さんが33年前にこの店を開いた時、何か奈良で面白いものはないかと考えた末、人がまねできないものを作ろうと、奈良の大仏から特大あんぱんを思いついたものだ。大きくて高いのは当たり前、赤字でもいいからお客さんに喜んでもらえるものをと、当時、1袋300g 300円の北海道十勝産あずきあん餡をあんぱん1個に1袋丸々入れて、160円(税抜)で販売した。餡は、普通サイズの5倍の量だという。驚くべき大赤字だ。おまけに開店当初は全く売れなかった。
 途方に暮れたが、新聞や雑誌などメディアが取り上げ、一気に火がついた。多い日は千個も売れる。だが問題は売れれば売れるほど赤字が膨らむことだ。幸い、妻が作るサンドイッチの売れ行きが好調だったので、何とかお店は続いてきて今に至ったのだという。値段は開店当初のまま全く変えなかった。大赤字で店の改装もできなかったとぼやく中野さん、当然家族には頭が上がらない。
 夫婦で33年間、毎日午前2時頃店に来てパン作りを始める。8時に開店し、16時で閉店すると片付けて、夕方18時頃就寝。また夜中に起きて出かけるサイクル。それでも大仏あんぱんをやめようとしなかった。
 13年前に中野さんは胃と胆のうをガンのため全摘出。その時、店にあふれんばかりの花やメッセージが届き、応援してくれるお客さんにびっくりしたという。それが励みでどんなに体がしんどくても続けてきたのだが、75歳になった中野さんは、今度は肺を患い、左肺の切除が決定、このたびの閉店となった。
「13年前から体がきつかったけれどもやってこられたのはお客さんのお陰。本当はもっと続けたかった」と悔しさを口にする中野さん。
 パネトーネの火は消えたが、ぎっしり詰まったあんこのような中野さんのあったかい心は、皆の心に残っているに違いない。
 
 
makican
▲ページ最上部へ